「“王家の血”は、相手の考えくらい見透かす事ができるって、亜姫は知ってると思ってた」
「そんな事、知ってる」
「じゃあ……俺はうぬぼれてるわけじゃないって一番知ってるのは亜姫……、」
「だけどそれは、二楷堂の言いたい事は、事実かもしれないけど真実じゃない。
二楷堂の言葉を借りれば、フェアじゃない。
心の中の声を読むなんて」

言葉を遮って、隣を歩く二楷堂を見る。

「私が言葉にした事だけが真実なの。
それが……人間界のルール」

少しの間、沈黙があった。
目を逸らさないで見上げていると、二楷堂はふっと笑う。

そして、一歩私に近づくと、指で頬に触れた。

「確かにフェアじゃないね」
「……その前に、できるならその能力封じ込めておいて。
なんでもかんでも見透かされるのって、気分悪いから」
「読もうと思わなければ、できないから大丈夫。
それに、隠したがってる事ほど見えないし。
……だから、亜姫の気持ちを知るにはかなり苦労した」