柔らかな日差しが室内を照らし、自分の右手がハッキリと目に映る。 心臓が跳ね上がった。 右手にありありと甦る、昨夜の光景。 瑞貴の唇の感触。 心臓が脈打ち、顔が熱く染まっていく。 「う、あ、あ」 熱い。 心臓が―― 一晩経てば忘れるかな、なんて考えが甘かったということを、激しい心悸が教えてくれる。 むしろ一晩寝かせたせいで、記憶がより濃密に変わった気がする。 瑞貴の声が、吐息が、艶かしく右手を這う―――― 記憶をかき消すように首をぶんぶんと振り、ベッドから這い出た。