「違うよ。……あたしがしたいの」 それとも、瑞貴はもう私に触りたくない? 不安に潰されそうな心を叱咤して、弟を見つめる。 それでもいいや。 瑞貴が私を見限って、嫌いになっていても構わない。 「今まで散々拒んできたくせに……なんでいまさら?」 刺々しい言葉をまっすぐ受け止めて、 「……ごめん。でも、瑞貴がいい」 「……」 「……はじめては、瑞貴がいいから」 涙が滲みそうになって懸命に堪えた。 やけに長い沈黙に、鼓動が早まる。 やがて弟は呆れたようにつぶやいた。