その瞬間、ユージスが何故か驚いたように目を見開いた。
そして。
「…お前…」
と、何か言いかけた時。
「ユージス様…!こちらでしたか!」
バタバタと廊下を走ってくる青年の姿が次回に飛び込んできた。
「…あぁ、なんだナチか」
「ユージス様、ヒドイですよ!私を置いてくなんて。私はあくまで貴方の護衛なんですから勝手な行動はやめてください」
ユージスにナチと、呼ばれたその青年は懇願するようにそう言い放つ。
帯剣してる所を見ると、ユージスの護衛騎士のようだ。
「それでこちらのお嬢様方は…」
ナチは、困惑したように床に座り込んでいるカローナとロコに視線を移してユージスに問いかける。
「ちょっと曲がり角でぶつかったんだよ」
ケロッとした表情で、ユージスが答えると、ナチは対象的にアワアワと焦ったような表情を見せた。
「お嬢様方申し訳ありません。お怪我はないですか…?うちの主がとんだ御無礼を…申し遅れました。私、ナチル・ヨーザスと申します…ユージス様の護衛騎士です」
ナチという青年は、サッと2人を抱えおこし、怪我がないことを確認すると、丁寧に挨拶をしてくれる。
「い、いえ…。ご丁寧にありがとうございます。カローナ・ローリンスです」
なんだかユージスよりは、かなり紳士的な感じの人でカローナも彼の登場にホッと胸を撫で下ろした。



