「…何でこの部屋まで来るのよ。最悪ね…」


ボソリと、ルイに聞こえないくらいの小さい声で悪態をつく彼女。


もちろん、扉の向こう側にいるシルヴィには聞こえてはいない。


しかし、さすがに無視するわけにもいかず、カローナは、扉を見据えつつ。


「…な、なんでしょうか?…シルヴィ様」


かぼそい声でそう問いかけた。


「おぉ、愛しのカローナ姫…!侍女のリリスからご気分が優れないと伺いました。それで心配になりましてね、体調は大丈夫ですか?」


シルヴィのその言葉にカローナは、目を見開く。


…そっか。リリス、お父様たちにそう言ってくれたんだ。


リリスなりに気をつかってくれていたことがわかり、カローナに思わず小さな笑みが溢れる。