ビクッ。


突然のノックの音にカローナは一瞬、驚いて身をすくませた。


ルイは、尻尾をピンとたて警戒したように入口のドアを見つめている。


…もしかして…、いやきっとそうね。


だいたい誰かなんてとっくにカローナには、予想がついていた。


しかし、できればその人でないことを願ったのだが…。


「カローナ姫〜。出てきておくれ。君のフィアンセのシルヴィだよ」


ゾッとするような猫なで声が扉の向こうから聞こえてきた途端、カローナは、大きく肩を落としたのだ。