「それは…確かにそう言ったけど…言葉の文(あや)でしょう?本当に猫と結婚なんて思ってないわ」


そう。あの台詞は、カローナが例えで出した話であって、本気なわけではない。


いまいち話が読めないカローナが不思議そうに首をひねっていると。


「ふふ。簡単な話だよ。あんたにはオレの嫁になってもらいたいんだ」


「…は?何を…言ってるの…?」


唐突にそんな提案をされ、益々わけがわからないカローナは、ポカンとした表情を浮かべた。


その時。


突然、カローナの前には1匹の黒猫が姿を現したのだ。


まぁ!かわいい猫…。


瞳は吸い込まれそうなほどの漆黒。


毛並みもサラサラで、きっと良いところの家の猫なのだろう。


カローナはそう思いつつ、目の前に現れた猫を抱きかかえる。