カローナ姫の黒猫



「それは…もちろんそうだけど…でも、国のためには仕方ないことだし…」


図星をつかれて、若干言葉を濁すカローナに対し。


「ふ〜ん。じゃあさ、その結婚、とりやめにする方法があるとしたら…あんたどうする?」


若い男性の声は、クスクスと微笑みながらおもしろそうにそう言い放つ。


「…結婚を取りやめに…?そんなのできっこないわ」


呆れたように呟くカローナは、この世の終わりのような顔で俯いた。


どうせ、そんなことできるはずがないのよ…。期待するだけ時間の無駄だわ。


しかし、そんなカローナにお構い無しで。


「あんたさっき言ってたじゃん。あんなヤツと結婚するくらいなら猫と結婚したほうがましだってさ」


声はそう言葉を紡ぐ。