その時だった。
「へぇ〜?あんた、あの禿げたおっさんと結婚すんのかよ?同情する話だな、それは」
口ではそう言いつつも全然、同情なんかしていないような楽しそうな声が、カローナの部屋に響きわたる。
「だ、誰…?」
ガバっと、ベッドから飛び起き辺りをキョロキョロ見回して見るも部屋の中はガランとして人の気配はなかった。
…声だけ聞こえる…、とうとうおかしくなってしまったのかしら。
「…まぁ、誰だっていいじゃん。そんなことよりさ、あんた、あのおっさんと結婚したくないんだろ?」
声からして若い男性のようだが、やはりどこを探しても姿が見えないことにカローナは、驚きを隠せない。



