カローナ姫の黒猫



リリスだってカローナの気持ちがわからないわけではない。

ただ、この結婚はサァーフィア国の未来ためにはどうしても必要なことなのだ。

「姫様…私も本当は素敵な方と結婚して幸せになってもらいたいのです。でも…」

小さい頃から実の娘のように可愛がっていたカローナのことを考えるとリリス自身胸が痛む。

しかし、一介の侍女である彼女にはどうすることもできない。

リリスはここしばらく、そんな複雑な気持ちを抱きつつ、カローナの様子を見守っていた。

それに、カローナ様は最近、ろくにご飯も食べていない…。

せめて、お食事だけでもしっかりと、食べていただかなければ…!


リリスは、キュッと唇を噛み締めてそう思ったのだった。