私と玲好君が、無言で街中を歩いていると。私は、あることを思い出す。

「あ!玲好君!皆にお土産!」

私が、途中で玲好君の服を掴んで横を歩いていた玲好君の歩みを止めた。

「あ………、そうだった。叶に怒られちゃうね……」

玲好君は、微笑んで立ち止まる。

「お土産…何にしようかな?」

私が玲好君に聞くと、玲好君は少し悩んで…。

「皆が喜ぶのって、ケーキとか…。食べるものが喜びそうだよ?黛城さんとか、本当に喜びそう!」

「確かに!甘いもの好きそう!」

私は、目を輝かせてから、周りのお店をチラチラと見た。

「じゃあ、お店見つけて入ろっか。えーと……」

チラチラと何となく見て、一番綺麗なケーキのお店を私と玲好君が見つけたので。そのケーキのお店の中に2人で入った。

「いらっしゃいませー」

店内は、白っぽい家具でまとめられていて。綺麗に作られたケーキの一つ一つが、個性を引き立てさせられていて、全部のケーキが美味しそうに見えた。

「「美味しそう!」」

私と玲好君の声が重なった。一瞬、私達は見つめ合ってから、クスッと笑った。

「叶君って、なにケーキが好きかな?」

ジーッと、沢山のケーキが入っている透明なケースを眺めながら玲好君に聞いた。

「叶はね、チョコケーキが好きなんだ。で、黛城さんが、イチゴのショートケーキ。で、愁太がチーズケーキ。で、俺と玲愛はフルーツタルト。………優花さんは?」

「えっとね。私は、…イチゴのショートケーキかな。…私、イチゴが好きだから。小さい頃からケーキって言ったらイチゴのショートケーキだったんだ」

「そうなんだ。優花さん、黛城さんと気が合いそうだね……」

「え?!そうかな……。私、黛城さんみたいに心広くないし……」

「そんな事ないよ。優花さん、黛城さんと同じくらい心広いよ。だって、叶が酷いこと言っても、本気で怒らないじゃん」

玲好君は、店員さんにケーキを頼む。

「えぇ?!叶君の冗談はキツいし酷いことばかりだから、たまに怒ってるよ?」

「え?いつ?」

玲好君は、本当にわからないって表情をした。

「へ?一昨日とか…。玲好君、その時いたよ?」

「え?あれって怒ってたの?!」

「ん?……凄い怒ったよ?」

「………迫力無さすぎて分からなかった…」

玲好君は、苦笑いをこぼす。

「え?!そんなに迫力なかったの?!…だから、叶君、ニヤニヤとバカにしたように笑っていたのかな…?」

「………多分、それが一番の理由だと思うよ?」

「……そうだったんだ…」

私って、そんなに迫力ないのかな……。凄いガッカリだな……。

「お待たせしました」

私が、凄い落ち込んでいるときに、店員さんの元気な声が聞こえた。

「「ありがとうございます」」

私と玲好君が、同時に手を伸ばす。

「…私が持つよ?」

「いや、俺が持つよ。優花さん、危なっかしいから、転んでケーキがグチャグチャになったら、お土産にならないもん」

玲好君は、苦笑いで、最もだけど酷いことを言った。

「……ごめんなさい。お願いします」

最もすぎて、私は玲好君にケーキを持ってもらって、私達はお店を出た。