「きっ、キスなんてしないよ!叶のバカ!」

玲好君は、顔を真っ赤のままグランドに走って逃げた。私は、どうすれば良いのか分からなくて、無言のまま立っていた。

「良かったですね。優花先輩。玲好先輩と、デートする事になって」

叶君は、それだけを言うと歩いてグランドに向かっていった。

「……………」

えっ?何で、2人とも私を置いてグランドに行っちゃったの?!待っててくれたって良いじゃん…。ヒドいな…。

「ぶぅ………」

私は、1人寂しくグランドに歩いていった。

私が、グランドに着くとギリギリで、千メートルリレーが始まるところだった…。

玲好君は、最後に走るって言ってた。私は、玲好君を、探す。少しして玲好君を見つけると……。

いつもとは、違う真剣な表情をした玲好君がいた。

『位置について、よーい…。ドンッ!!』

ピーッと、笛がなった。…流石、足速い人たち…。速すぎて、分からないっ?!

……あっ、あれ?私達のクラス、ビリ?!

「……だっ、大丈夫かな……?」

「玲好先輩は、足が速いんで大丈夫じゃないんですかー?デート行きたいんだろうし。玲好先輩は!」

私が、1人ポツリと呟くと。いつの間にか、隣に立っていた叶君が、凄い機嫌悪い声で話してきた。

「……あっ、叶君。……ビックリした。…そうだよね、玲好君足速いもんね。…優勝出来るよね…」

赤組優勝出来ますように…!!!

「優花はさ、それ本気で言ってんの?本当は、玲好とデート行きたいから優勝出来ますようにって言ってんるじゃないの?」

「…………?デート……?」

「さっき、デート行こうって、玲好に言われてたじゃん」

「えっ?だって、玲好君、デートじゃなくてお出掛けって言ってたよ?2人で、映画見に行こう!って」

「あっそ……。バーカ……」

「えっ?私、なんかバカみたいなこと言っ…。あっ、もう玲好君の番だ!!応援しないと!」

……って、あれれ?さっきまで、ビリでしたよね……?玲好君、普通に人抜かしてますけど?!

……あっ、後もう少しで!一位の人抜かせそう!!頑張れ!!玲好君……!!

『赤組、逆転一番ゴール!!』

私の、思いが伝わったのか後数メートルの所で、玲好君が一位の人を抜かして一番でゴールした。

玲好君は、息も切らしてなく。チラチラと、辺りを見渡して、私と目が合うと。今までで、一番輝いている笑顔で、私にピースした。

私も、出来る限りの笑顔でピースを返す。

「「「キャャャャャーーー!!!」」」

女の子の黄色い声が、グランドに響く。

…………。相変わらず、人気の玲好君です…。ただ、ピースしただけで、この歓声…。アイドル並ですね…。

「優花さーん!!」

玲好君は、少し経った後、私と叶君の所に走って来てくれた。

「一位おめでとう!玲好君!」

「えへへ!ありがとう!」

「一位おめでとうございます…。玲好先輩…」

叶君は、睨み付けながら玲好君にお祝い?の言葉を伝えた。

「あっ、ありがとう…」

玲好君は、苦笑いを零した。……まぁ、叶君、理由は分からないけど凄い機嫌が悪い。

「じゃ、じゃあ閉会式もあるし。優花さん、叶、行こっか…」

「うん!!」

「……うん」

私達は、それぞれの場所に向かう。

今日、最後のイベント?。順位発表。

私は、優勝出来てますようにと、両手を重ねて。目を瞑り、祈っていた。

『四位、黄組。三位、白組。二位、青組。一位、赤組!…おめでとうございます!赤組、優勝です!』

「「「やったーーー!!」」」

「「「キャャャーー!!」」」

やった!優勝した!私は、嬉しくて玲好君とハイタッチをした。

今年最後の、体育祭の赤組の三年生が泣きながら喜んでいた。

他の、組の三年生達は、全力を出し切った顔で凄いスッキリした顔をしていた。

私達、二年生は体育祭の後に道具の片付けがあり、疲れている体にムチを打ち、最後の最後の力を振り絞って片付けた。