「「……………」」

叶君は、私と顔を近付けただけで何もしない。ただ、私と視線を絡めるだけ。

「……ぇっと……。かっ、叶君?なっ、何……?」

「……………」

叶君は、私の問い掛けを無視する。

……叶君って、本当に可愛い顔してるな…。近くで、みたら睫毛が凄い長い…。……って、今そう言う状況じゃない…。

「…叶、君。もっ、戻ろ?」

「……嫌だ」

「ぁはは…。そっか…。でも、……顔は離そう?」

「……嫌だ」

「………そっか………」

「本当に優花、分かってないでしょ?僕、さっき言ったよね?ここ、男の子がよく女の子を襲う場所なんだよ?ってさ?」

「…………?……だから?」

私は、首を傾げる。と、叶君は、疲れてる表情して。

「はぁ……。本当に…。理解力無さ過ぎ……」

「ごっ、ごめんなさい……」

「どう説明したら、優花は理解出来るの?」

「くっ、詳しく…?分かりやすく…?」

「僕は、詳しく、分かりやすく説明してるけど?」

「えっ?そうなの?……」

私って、凄い理解力が無いんだな……。ちょっと、自分が悲しくなってきた……。

「うん。普通なら、もう自分の状況を理解してる」

「そっ、そうなんだ……」

「……でもさ……。体で教えた方が、早いかもね?優花……?」

「そっ、そうだね……」

何か…。叶君の顔が、近付いてきてますけど?!ちょっ、何で目瞑ってるの?!

「………むっ」

「………ごっ、ごめんなさい………」

私は、近付いてくる叶君の顔を両手で阻止した。……身の危険が感じられたからです……。

叶君は、私の両手から顔を離して。…不機嫌な顔で、私を見た。

「チッ……。もう少しだったのに……。優花、余計な事しないでよ……」

「……ごめんなさい……」

「はぁあ……。……本当に、今日は最悪な日だ……」

「ごめんなさぃ……」

「はぁ……」

「……………」

「本当にムカつく…。玲好と2人で
ゲームしやがって…」

…………?……叶君も、一緒にゲームしたいのかな?

「じゃあ、叶君も、一緒にゲームしようよ」

「…………。そう言う事じゃ……。まぁ、良いや……。優花が、頼むんだったら。一緒にしてあげない事も無いけど……」

「叶君も、一緒にゲームしようよ!今度、玲好君にも言ってみる!」

「僕は、優花と2人で!2人で、ゲームしたい」

「2人で?何で、玲好君はダメなの?」

「嫌だから。僕は優花と2人ダケで、ゲームしたいの」

「………?うん、良いよ。分かった。じゃあ今度、2人でゲームしよっか」

「うん……」

私が、良いよ、と言うと。叶君の表情が、明るくなった。

……ゲームしたいなら、言えば良いのに……。叶君って、自分から言えない男の子だったのかな?

「じゃあ、約束もしたから。戻ろ?」

「……うん」

叶君は、私の手を取って歩いた。私は、どうすれば良いのか分からなくて、叶君のするがままに、合わせた。