朝靄の中に、ちゅんちゅん、という小鳥の囀りが響いている。
昨日の争いなど嘘のように静かな朝だ。
雨もすっかり上がっている。
捨吉は、大きな包みを背中に括り付けて、慎重に蔦葛を伝って、洞穴に近づいた。
がさがさ、と入り口の木立を掻き分け、ひょい、と洞穴を覗き込んだ捨吉は、あっと息を呑んだ。
真砂が座っている。
「頭領っ。気がついたんですね! 良かった」
ぴょん、と洞穴に入るなり、捨吉はがばっと真砂の前に膝を付く。
嬉しそうに言うと、いそいそと背中の荷物を下ろして広げ始めた。
「米と芋しかないですけど。腹減ったでしょう? 食材を用意するのは、許してくださいね。作るのは、深成に……あれ?」
人の世話になるのも、人から施しを受けるのも厭う真砂だが、さすがにここには食べ物はない。
取りに行ける身体でもないし、捨吉の厚意に頼るしかない。
いそいそと持ってきた食材を並べていた捨吉は、きょろ、と洞穴の中を見渡した。
座っているのは真砂だけだ。
見ると、真砂のすぐ横に敷かれた筵の中から、深成がじっと見ている。
昨日の争いなど嘘のように静かな朝だ。
雨もすっかり上がっている。
捨吉は、大きな包みを背中に括り付けて、慎重に蔦葛を伝って、洞穴に近づいた。
がさがさ、と入り口の木立を掻き分け、ひょい、と洞穴を覗き込んだ捨吉は、あっと息を呑んだ。
真砂が座っている。
「頭領っ。気がついたんですね! 良かった」
ぴょん、と洞穴に入るなり、捨吉はがばっと真砂の前に膝を付く。
嬉しそうに言うと、いそいそと背中の荷物を下ろして広げ始めた。
「米と芋しかないですけど。腹減ったでしょう? 食材を用意するのは、許してくださいね。作るのは、深成に……あれ?」
人の世話になるのも、人から施しを受けるのも厭う真砂だが、さすがにここには食べ物はない。
取りに行ける身体でもないし、捨吉の厚意に頼るしかない。
いそいそと持ってきた食材を並べていた捨吉は、きょろ、と洞穴の中を見渡した。
座っているのは真砂だけだ。
見ると、真砂のすぐ横に敷かれた筵の中から、深成がじっと見ている。