「あれか」
切り立った断崖の上から、崖下を見る。
件(くだん)の死体は、崖の途中の木に引っかかっているようだ。
妙な格好でぶら下がっていた。
崖は急だが、そう大きくもない。
もちろん落ちれば死ぬだろうが、目も眩むほどの高さではない。
その途中で死んでいる、ということは、殺されて落とされたということだ。
「確かに、同じ忍び装束のようだな。印までは確かめられんが、奴の仲間、ということだろうな」
崖の淵から死体を覗き込みながら、真砂が言う。
「真砂っ。あんまり乗り出しちゃ、危ないよ」
深成が、握った真砂の袖を引っ張りながら言った。
羽月が一瞬で顔色を変え、口を開こうとしたが、それよりも先に、真砂の眉間に皺が寄る。
「何を言ってるんだか。今だって、またとない機会だろうが」
「何のよ。とにかく、見てるほうが怖いっていうのっ」
首を傾げながらも、真砂の袖を引っ張り続ける深成に、真砂はため息をつくと、身体を戻した。
そして、ひょいと深成の襟首を持つ。
「ほれ」
ぱし、と足を払われた瞬間、深成の身体は空中へ。
真砂の腕一本で、崖の上からぶら下げられていた。
切り立った断崖の上から、崖下を見る。
件(くだん)の死体は、崖の途中の木に引っかかっているようだ。
妙な格好でぶら下がっていた。
崖は急だが、そう大きくもない。
もちろん落ちれば死ぬだろうが、目も眩むほどの高さではない。
その途中で死んでいる、ということは、殺されて落とされたということだ。
「確かに、同じ忍び装束のようだな。印までは確かめられんが、奴の仲間、ということだろうな」
崖の淵から死体を覗き込みながら、真砂が言う。
「真砂っ。あんまり乗り出しちゃ、危ないよ」
深成が、握った真砂の袖を引っ張りながら言った。
羽月が一瞬で顔色を変え、口を開こうとしたが、それよりも先に、真砂の眉間に皺が寄る。
「何を言ってるんだか。今だって、またとない機会だろうが」
「何のよ。とにかく、見てるほうが怖いっていうのっ」
首を傾げながらも、真砂の袖を引っ張り続ける深成に、真砂はため息をつくと、身体を戻した。
そして、ひょいと深成の襟首を持つ。
「ほれ」
ぱし、と足を払われた瞬間、深成の身体は空中へ。
真砂の腕一本で、崖の上からぶら下げられていた。