「学校になにか用でも?」
距離を置くような話し方。
…他人みたいじゃん。
いやめぐにとったらもうどうでもいいこと?
「めぐ…大学どこ?」
「県内」
“県内”という返し方。
俺の方へは来ないって断言してるみたいだ。
…めぐをすごく遠く感じてしまう。
帰ってくるこの日を待ちわびて来たのに、なんだか…今となったら、
“今日じゃなきゃよかった”って思ってる。
もっと早くに来ればと。
「…先輩、桜満開の時に来ればよかったのに」
「…え?」
「散ってるのしか見れないなんて、なんか嫌じゃないですか」
「…儚いから?」
「はい。…でもあたし好きなんです。」
「……」
「桜は恋と一緒だと思ってますし。」
「…恋?」
めぐの口から“儚い”とか“恋”って言われるとなんだかむず痒い。
…手の届く所にいつもいたはずのめぐ。
そんなめぐがどんどん離れていってる。

