「…明里がいる」
「……」
ほらね、やっぱり。
わかってた事と同じ。
でもこれでいいんだよ。
逃げないでちゃんと聞けたんだから。
「先輩、これでいいです」
「…え?」
「ちゃんと先輩を諦めます」
「…めぐ?」
そう。
もう先輩に迷惑のかかる事はしない。
明里さんが苦しむような事はしない。
2人の邪魔するような事は2度としない。
「それじゃあ波留先輩」
「……」
「今日からもう帰りません」
…あたしはどうしても明里さんを越えることは出来ない。
あたしが出来るのは、先輩を諦める事だけ。
「それじゃあ」
あたしは屋上を出た。
もう涙が堪えきれそうになかったから。
……ごめんなさい、先輩。
もう先輩を困らす事はしないから。

