「ねぇ波留」
「ん?」
「花の中でなにが1番好き?」
「薔薇」
「…薔薇」
「んなわけねぇーじゃん」
「え?」
「俺は桜が1番好きだ」
「…波留っ」
「抱き付くな、見られる」
あたしは波留に出会えて嬉しいよ。
波留が運命の人で嬉しいよ。
もったいないくらいの素敵な人にあたしは出会った。
波留は優しくて王子様みたいな人だった。
…でもそれは表向き。
「めぐ?今すぐ襲いたいんだけど」
「だ、だめ…っ!」
「抱きついためぐが悪くね?」
本当は、
意地悪でエロくて嫉妬深い人。
でもやっぱり、
とっても優しくて笑ったら可愛い人。
カッコいいのに可愛いってずるいよね。
「波留。」
「ん?」
「愛してるっ」
「やっとかよ…」
「やっと…?」
「愛してるってやっとめぐから聞けた」
「愛してる」
「俺も芽魅を愛してる」
桜はあたしたちの大事な大事な花。
きっと思うの。
何年経ったって、
桜の季節が来る度に、
あたしは波留に出会ったあの日を思い出す。
――先輩に恋したあの日を。

