「あー…ったく!どこ行ったんだか」

「慧!屋上探して?あたし中庭から探す!」

「お、わかった!」





屋上に行けばきっとそこに沙梨はいるはず。

慧はいつだって沙梨の1番でいなくちゃ行けないよ。

今は1番早く、沙梨を見つけ出して。





――♪〜♪〜〜♪♪


「もしもし」

「めぐーっ♪明後日で卒業だな♪」

「だね」

「めぐ?どうした?」




…寂しいよ。

なんだか寂しくてたまらない。




「…寂しい?」

「うんっ…」

「でも大丈夫だよ、めぐ」

「…ふぇ?」

「あいつらは何も心配しなくて」

「…波留…」




心配…。

あの2人は…慧と沙梨はどうなるんだろう?

って心のどこかで心配してた。




「めぐも、卒業だよな」

「…うん。卒業だね」




卒業しないといけないね。

あの2人に甘えるのから卒業しなくちゃ。

これからは毎日一緒って訳でもない。

寂しい時にすぐ会える訳じゃない。

――あたしがちゃんとしないとダメだよね。





「波留、卒業したらエンゲージね?」

「たっけー、買い物になるな」

「…波留大好き」

「お、今日は素直じゃん?」




大好きだよ、波留。

大好きだよ、沙梨。

大好きだよ…慧。

あたしは大切な人がいっぱい居るみたい。

…でも波留が1番だよ。

これからもずっと……、

あたしの1番は波留じゃなきゃダメだよ。

違うね?

波留の1番はあたしじゃないとダメだよ。

…ううん、あたしだけ。