『俺、芽魅好きだし』
『大好きだよ、あたしも』
でもね、慧。
あたしの大好きと慧の大好きは意味が違うんだよね?
だから…あたしは慧の大好きに応えてあげることはできない。
あたしの大好きと同じだったらよかったのに…。
「もしもし?」
いつの間にか電話が来ていた先輩。
誰だろ…?
「めぐみ?どうしたんだよ、急に」
「なんか波留いないからつまんなくてさ」
なんで聞こえちゃうんだろう?
後ろの席が良かったな。
助手席なんかに座るもんじゃない。
「はぁー?明日帰るし」
「めぐちゃんと居れば?」
「大丈夫だって。めぐみこそ風邪平気なのかよ」
「うん」
風邪…引いたんだ。
先輩の声優しい…。
やだなぁ。
その声も全部あたししか知らなくていいのに。
『めぐー?』
『慧、明日部活?』
『おう♪』
「波留、明日帰る?」
「ん?あ、うん」
「…そっか」
楽しそうに話す先輩。
…あたしの存在忘れてる?
まさかね?
だって隣に居るもん。

