「波留先輩」

「…沙梨ちゃん」






慧がめぐを連れて行った。

…なんだろう、この奪われた感。







「波留先輩、彼女いるんですよね」

「もうバレたんだ」

「波留先輩、どうしてめぐにかまうんですか」

「…かまいたいから」

「それがめぐを苦しめてるんです」

「は…?」

「毎回毎回自分だけかまわれてたらもしかして…って思っても不思議じゃないでしょ?」







沙梨ちゃんの言葉はズキッと俺の胸を痛めた。

めぐを、苦しめてる。

そんなつもりはなかった。

ただ本当にかまいたくて…めぐと話がしたくて。






「これからは態度気を付けて。」

「…めぐは俺が好きなのか?」

「好きって言ったら先輩の中でなにか変わるの?」

「…っ」






それだけ残して沙梨ちゃんは去っていった。

なにか変わるの?

その問い掛けになにも答えられない自分がいた。




―〜♪〜♪〜〜♪



「……はい」

『波留ーっ!!』

「…なんだ明里か」

『なんだってなによー』







電話相手は明里だった。

いつもなら嬉しいはずなのに、

めぐの事があってかなんだか気持ちが乗れない。