「もしも…」

『波留!早く市立病院に来てくれ!!』

「…は?」



病院?

なんで?

母さん倒れた?…いや父さんから電話来るよな。

じゃあなんで病院なんだ?



『芽魅が倒れたんだ!』

「えっ……?」




一瞬時が止まった気がした。

何もかもの…時間が。

そして意味を理解すると身体中から血の気が引いた。


めぐが……倒れた…?



『早く来てくれ!まだ意識戻ってねぇし!』

「わ、わかった…」




柄にもなく震えてしまう体。

…意識が戻ってない。

こんなにも怖い事なのか。

ドラマや映画ではよくある。

でも“どうせ戻るんだろう”と思って見てた。

でも違う。

本当に…自分がそういうのに遇ってしまうと不安で仕方ない。

怖さで震えてしまう。




「波留?」

「めぐみ、俺一旦戻るわ!!」

「波留!?」




なにも考えられない頭の中。

そんな頭でもやっぱり浮かぶのはめぐ。

…めぐ、今行くからな。

熱中症か?

クソジジイ…走らせたんだな。

怒りの矛先があらゆるところに向いてしまう。

全然余裕なんかなくて。

ただ今……めぐに会いたい。

めぐを抱き締めたい。

意識が戻ると、信じたい。