「芽魅」
「…け、い…?」
「めぐ、澄田と一緒に教室戻ってな」
「沙梨…?」
どうして、いるの?
…本当に2人には助けてもらってばっかりだ。
「先輩、少しあたしと話してください」
「えっ…でもめぐが…」
「芽魅なら大丈夫。…俺が側に居るんで」
「…そっか」
どこか寂しそうな顔をした先輩。
…もうお昼ご飯は一緒に食べれないね。
そう、あたしの心が囁いた。
うん、そうだね。
あたしがそう、呟いた。
「慧…ごめ、ん…」
「さっきのお礼。お前貸し1だから」
「貸し!?貸しなんかつくの!?」
「ちなみに、木嶋を連れてきたのも俺だから貸し2だな」
「貸し2!?」
「お、やっと戻ったな!芽魅」
「…慧のバカ」
慧だけがあたしを“芽魅”と呼ぶ。
だからすぐにわかった。
「芽魅」って呼ばれた時、慧が来たんだって。
「芽魅、波留に彼女いた事知らねぇーんだ」
「…うんって波留!?」
「あ、俺波留と幼なじみだから。」
「そうだったの!?」
だからタメだったのか。
…波留、か。
彼女しか呼べないよね。

