数分してめぐが帰ってきた。
明らかに様子が変。
…なんかあった。
「めぐ、どーだった?」
でもあえて気づかないフリをする。
めぐは“気付いて”と思ってないから。
「来てくれるって!」
「そっか!んじゃめぐアゲポヨー?」
「アゲポヨー!」
笑顔が、ひきつってる。
…澄田も気づいてる。
めぐの異変はわかるくせに、あたしの異変は気づかない。
…なんてやつなんだ。
「…木嶋、お前さっき後輩呼んでたぞ」
…あたしを邪険扱いですか。
澄田は今めぐと2人きりになりたいんだ。
めぐを抱き締める?
…ねぇ澄田。
アンタはめぐが好きなんだよ。
「本当?ちょっと行ってきます!」
「いってらっしゃい♪」
…行ってあげるよ。
…離れてあげるよ。
でも、少しだけ見てもいい?
澄田はめぐになにをするの?
「芽魅、どうした?」
どこからそんな優しい声が出てんの!?
あたしの時超ドス効いてますけど!?
「我慢すんなって」
ほら、抱き締めた。
思ってた通り。
…もっと予想と違う事しなさいよ。
つまんないなぁ。
「…っふ…」
だけど頬を伝う涙。
涙なんか出ないでほしい。
あたしはまだこの気持ちなんか知りたくないから。
…まだ逃げていたいから。

