変人3人は、学校から出てコンビニに行く途中の歩道を歩いていた。

変人アラタは、小さい小石を蹴った。その小石は、コロコロと素早く転がっていき、ある物にコツンと、ぶつかった。

そのある物は、捨て犬が入っている段ボール箱。

「お?犬がいるぞ?」

タッタッと、小走りで段ボール箱に近付く変人アラタ。

段ボール箱には、『可愛がってあげてください』と、書いてあった。

「本当だー……。可愛い…、よしよし……」

捨て犬を撫でる変人リン。

「捨てるなら、飼わなければ良いのに…ね?犬さん、ごめん…ね?」

犬を撫でながら、謝る変人リイ。

「そうだ!コイツを、育てないか?」

変人リンから、犬を奪って犬を上に高くあげる変人アラタ。

「そんなお金無いよ……」

「そうだ…よ?」

「僕達の担任教師に頼めば良いじゃないか!」

「でも……」

「でもでも星人め!今、僕が退治してやる!」

「いた、いた…!!ちょっ、ヤメてよ!!」

ゲシゲシっと、変人リンの事を容赦なく蹴っ飛ばす変人アラタ。

「あ、でも、ちょっと待てよ…。…捨て犬を拾ってしまったら段ボール箱に何も残らないよな…。何かを拾いたい人間が、いたとき!拾う物が無かったら可哀想だ!」

「アラタ、バカ?そんな人いるわけ無いじゃ…」

変人リンは、変人アラタの事を呆れ顔で見た。

「と、言うことで。ジャンケンして、負けた奴が、この段ボール箱の中にはいるって事で!最初はグー!」

勝手に、話を進めて。勝手に、ジャンケンをし始める変人アラタ。

「ちょっ、ちょっと!」

「アラタ…、勝手に始めな…」

「ジャンケンポン!!」

「「ジャンケンポン!!」」

変人リンと変人リイは、変人アラタにつられて、ジャンケンをする。

変人アラタパー。変人リンパー。変人リイグー。

「じゃあ、負けたリイが、段ボール箱にはいるって事だな!」

「え……!!……嫌だよ、怖い男の人や女の人に連れてかれたら、どうするの…さ?!」

変人リイは、泣きそうになりながら、変人リンと変人アラタに訴えかける。

「そんな事ある訳無いだろ。ちょっと、担任教師にコイツを渡してくる間だけ、はいってろ。ジャンケンで、負けたんだからな」

「ごめんね?リイ……、待ってて?すぐ、戻ってくるから…」

「……………、もし連れてかれたり、連れてかれそうになったら……、2人の事一生恨むから…ね?」

変人リイは、今まで以上に怖い顔をして変人リンと変人アラタを睨んだ。

「大丈夫だ!僕を信用し…」

「たくない…から?」

「あーもー!良いから、はいれ!」

変人アラタは、変人リイの事を無理矢理段ボール箱の中にいれて座らせた。

端からみると、面白い5。可愛い5。の光景だった。

「ぶふっ……、じゃ、じゃあ。リイ、待っててね?アラタと急いで、先生に渡してくるから」

変人リンは、笑いを堪えながら変人リイに伝えた。…因みに、変人アラタは大笑いしながら先に歩き出していた。

「5分以内に戻ってこないと、僕怒るから…ね?」

怒りオーラを出しながら、低い声で呟く変人リイの迫力は満点だった。

「………は、……はい!!!!」

変人リンは、冷や汗をかきながら、変人アラタの首根っこを掴み、走って中学校へ向かった。

実は、この変人リイは。可愛い顔して、ボクシングと柔道で、中高生の中で日本一を取れるくらいに強い中学生だった。

この変人3人の中で、怒らせたら一番怖いのは変人リイだ。