「スースー………」

私は、夢を見ているのか?……何故、何故!!鍵を鍵を!閉めたのに!……お兄ちゃんが、私の部屋に入り隣で寝ているの?!

「………お兄ちゃんは、実は幽霊だったり……とか?」

って、……!!何で、一瞬でもアラタさん達やカナ達、それにお兄ちゃんが考えそうな事を私は考えたんだ?!

「私が……。変人共に侵されていく……」

あぁあ……。意識を失いそうだ……。

「……いっぅて!……もっと、優しく起こしてよー!優の意地悪ー!」

「………あっ」

……私は無意識に、お兄ちゃんの事蹴ってたらしい。どれだけ私はお兄ちゃんが嫌なんだろうか……。

「もう!痛っ!!」

私は、お兄ちゃんの背中を思いっ切り、強く叩いた。

「そうじゃなくて!!何で、お兄ちゃん、私の部屋に入れてるの?!鍵閉めてるよね?!」

「あのさ、優ってバカ?……優が、昔俺に部屋の鍵預けたんじゃん……。ほらっ!優の部屋の鍵!!」

「もう返して下さい。今すぐに、返して下さい」

「嫌だね!」

「………………」

「死んでも、この鍵は返さない!」

「じゃあ、死んでみて」

「それは、嫌だ!」

「じゃあ、私の視界から消えて?」

「うん!嫌だ!」

「お兄ちゃん」

「何だ!」

「私の言う事は、聞いてくれるよね?」

「出来る限りな!」

「……鍵返して」

私は、泣くフリをする。……バカは、信じる。

「いゃ、ちょっ、泣くなって!なっ?…わっ、分かったから!鍵返すから!」

「ありがとう」

「………嘘泣きか?」

「ぁれ?お兄ちゃんって、嘘つく人だったんだ。鍵返すからって、言ってくれたよね……?……私、お兄ちゃんの事信じてたのに……。嘘つく人嫌いなんだけどな……」

私って、性格悪いな!!

「…………」

「そっか……。お兄ちゃん、私の事嫌いなんだ……」

「そんな訳無いだろ!俺は、優を愛してるぞ!!」

「じゃあ、鍵返して下さいよ」

「すまん!コレだけは、渡せないのだ!」

「…………」

「こっ、今度苺パフエ奢ってやる!」

「…………」

「ぇっ…と。じゃあ!苺パフエと、チョコパフェ!」

「…………」

「…………。じゃ、じゃあ!苺パフエと、チョコパフェと、ケーキ!」

「…………」

「うぅ、優ー!許してー!何したら許してくれるのー!?」

「………何も、しなくて良いよ。お兄ちゃんが、私の傍に居れば良い………」

だって、ココまで生活出来たのは、お兄ちゃんのお陰だし……。私に、ワガママ言う筋合いは無いんだ……。

「…………?!」

お兄ちゃんは、私を見たまま固まった。だんだんと、顔が赤くなっていた。

「………何?」

「……そっ、それは、世に言う逆プロポーズか?!」

「違うって……。……それに、妹をからかうのは、もうヤメた方が良いよ?妹を本気で、好きになる人なんて、居ないしさ……。お兄ちゃん、モテるんだから、さっさと彼女作りなよ」

私は、部屋から出ようとする。その時に、お兄ちゃんに手首を引かれて壁に押さえつけられる。

「……俺の気持ちが、本気じゃないって言いたいのか……?」

昔から優しい笑顔で接してくれてたお兄ちゃんの今の顔は、凄い怖かった。

お兄ちゃんの綺麗な、金髪が頬をかすった。みずみずしい水色の瞳は、私の目を睨んでた。