ノスタルジア






だけど……僕はキキを殺せなかったと。




苦い顔して、呟く。







最初のうちは驚いたように目を丸めていた彼も、なんとなく落ち着いた顔つきへと変わってきた。







きっと単純で素直な彼は。




僕がずっとキキを可愛がってあの家に住んでいると思っていたのだろう。




まさか僕があの仔を殺そうとしていたなんて……夢にも思わなかったはずだ。








それを知っていて、僕は彼にいつも嘘を吐いていた。




うちへ食料を持ってきてくれる優しい彼につけこんで。




アヤノが愛した仔猫を愛するという、偽りの自分を見せていた。