ノスタルジア






どうやら本当に嘘ではないらしい。




言われてみれば、澪の今日の服装はいつもより少しオシャレで。




「澪も……おめかし?」




「適当な格好で美人の隣は歩けないからね」





少しふざけて笑いながらそう言う。





「! バカにしてる!」




「してないさ。言ったろ? 可愛いって」




「……っ」






勝手に紅くなってしまって言い返す言葉も見つからない。




彼は、こんなことを私に言う人だったっけ?





何気なく浮かんだ疑問は、形になる前に心の中で消えていった。