目の前で、肩から上が布団から出ている女の人がいた。寝ているのか、こちらに背中を向けている。

 なにかつぶやいている。

「はーだるい。なんかもう死んじゃおうかなー」

 この人、誰なんだろう。と思っていたら、寝返りをうって、あたしに気がついた。

「……誰?」

 わからないんですか?

 携帯電話、これ見せたらわかるかも。そう思って見せると、

「あっ、はいはい。そっか。なんてタイミング悪いんだろうねー。疲れてんのに」

 急にしゃべりだした。

 作者だからなのか、話し方があたしと似ている。

 子どもは親を選べないというが、親だって子を選べない。キャラの心作者知らず。

「すみません、寝起きで。これからどういう未来になるんですか?」

 すると、作者と思われる女の人は、上半身を起こし、布団を半分ほど折り曲げ、前かがみになって眼を閉じ、両手で口をおさえた。そのまま動かなくなった。