「いいって。……あ、そういえば知紗ちゃんって俺のこと、なんて呼んでる?」 ちょっと待って、あれ……? このコーヒーのカップって、井岡篤樹が口つけたよね……? こ、こここれって!? まさか間接……。 ってか、お店に興奮してすっかり忘れてたけど、あたしさっきこの人と、キス……! 思い出すと、また鼓動が高鳴る。 「おーい?知紗ちゃん?」 井岡篤樹の声でハッと意識を戻す。 「な、なにっ!?」 なんか言ったの、この人!? あたしは慌ててうつむいていた顔を上げる。