「ただいま~…」 そこには、リビングに顔だけ覗かせているお母さんがいた。 ………お母さん!? いつからそんなとこに! 「深刻そうな顔してどうしたの」 お母さんはそう言いながら、テーブルにスーパーの袋をドサッと置いた。 深刻そうな顔、って…… 困ったようにあたしと千尋が目を合わせた時、 凜とした声が響いた。 「はじめまして、井岡篤樹と言います。知紗さんとお付き合いさせてもらってます」 そう言ったのは紛れもなく篤樹で そのしっかりとした挨拶にあたしの胸がトクンと音を立てた。