『俺は知紗ちゃんが好きです』 こんなに大勢の人がいるのに、シンと静まり返ったグラウンドには、湊斗先輩の声だけが響いた。 『お相手の女の子は、どこにいますかー?手を挙げて下さい!』 ……えっ、えぇ!? ホントにあたし? あたしがおどおどしていると、肘にコンと何かが当たった。 「知紗でしょ!手、挙げないの?」 霞の肘が当たったかと思ったら、次は腕を引っ張られる。 「え、あ、あたし?ホントに?」 あたしの言葉にお構い無く、霞はスゥッと息を吸い込む。