そのついでに、自ら命を絶った者や故意に命を奪った者たちが行くべき道がどういったものなのかを合わせて聞かせたということだ。

 この場所に来て初めて知ることができるので、そこで後悔しても、遅い。
 
 で、このバス事故の中に一人、実はバス事故に巻き込まれていない者が混じっている可能性が(ほぼほぼ100パーセントで)出て来た。

 今までの結論からしてそういうわけだが、アンジュラが言っていたようにここでは記憶は曖昧なものになっている。

 みんなそれぞれが仲間だと言い張っていて、同じ立場の人間なのだから、仲間でしかないといった認識になるそうだ。
 

 しかし、ここにいてはいけない者はそれをしっかり分かっている。


 行く末を見せられて後悔の念を抱き、罪を背負っているものが行く場所がアンジュラたち死神が管轄しているあからさまに怖そうな場所、

 そこに行くべき者が、どういう道を辿るのかをさきほど聞かせたときに見せた映像で恐怖でも覚えたんだろう、



 嘘をついて出て来ないということだ。



 だからそれによって私が帰れなくなっている。


 一人は確実にアンジュラに連れて行かれなければならないのだが、

 どういうわけか、私とその誰だか分からない者の立場が入れ替わってしまっている。

 そして、本当にアンジュラのところに行かなければならない者は、

 きっと元サークル仲間の中にひっそりと混じって隠れているということだ。



「それって見分ける術は無いの?」

「あるけど、それをできるやつは今いない」

「どこにいるわけ?」

「ここに一度連れてきたら当分戻って来ない。俺たちはいろいろ忙しいんだよ」

 ……忙しいって言う人ほど忙しくないって言うよね。そんなことを聞いた気がする……でも、

「私、見たら分かる」

「それでもだ、そいつをここに連れてきたやつが認めない限り、無理なんだよ」

「聞いて無いそんなこと」

「まあ、お前に言う必要なんてないから、言ってない」

 ルーインは悪びれもせずにそう言った。