天使みたいな死神に、恋をした


 部屋の中は一言で言うことが出来る。
 
 まっ暗。
 
 きっと死神は暗闇でも目が見えるんでしょうが、私にしてみりゃいい迷惑。
 
 糸のように目を細ーくして眉間にしわを深ーく刻んで見ても家の細部までは見えない。
 
 自分の周りがぼんやり見えるくらいしか明るさが無い。そして全て黒で統一されている。
 
 壁には大小様々な首切り鎌が飾られていて、黒く輝く首を切ることに生き甲斐を感じているとしか思えないようなぎらつきをみせている。

 ちょこっと首を傾けて鎌を下から見ても、いや、どの角度からでも切れ味抜群といったシャープで冷たい輝き。

 これで何人の人をシャパっとやったかは……考えないでおこう。考えたくない。考えない方がいいと思う。

 ぞわぞわと背中の下から頭のてっぺんまで悪寒が走った。

「くわばらくわばら。ここは恐ろしい場所だよ-。あぁ、何も考えないようにしよう」

 ちらりと二人の方を見ると、まだ言い合いをしていた。