じゃ、戻るね。
と、一度大きく深呼吸をして目を閉じ、自分の身体の上に立つ。
ちらりと横に目をやると、フードを取ったアンジュラの目とぶつかった。(気がした。だって、今じゃ恐ろしいくらいに真っ白い目になってるから目があってるのかすら分からない)
アンジュラの顔を見るのもこれで最後か。
記憶にも残らないなんて、なんて残念。
「さようなら翠さん」
不意に別れの挨拶をされて、眉が下がる。
でもなんで嬉しそうに笑ってる? 別れの時に嬉しそうに笑う人なんていないよ。寂しくなってるの私だけ?
「じゃぁ……バイバイ、アンジュラ」
ゆっくりと瞼を閉じて神経を集中させた。