天使みたいな死神に、恋をした


「とにかく一回帰れ。お前らがいると問題ばっかもってくるから仕事が片づかないんだよ。片付かないどころか、増える。こっちで分かったことがあったら連絡するから」

 しっしっと野良猫でも追っ払う仕草をする、不良天使。
 
 くっそー、その丸い蛍光灯みたいな輪っかをもぎ取ってバキっと割ってやりたい衝動にかられる。

 

 とはいえ、ルーインの言うところの意味も分かるので、追い払われた私たちはおとなしく上へと戻ろうとした。

 そのとき、



「翠?」

 
 呼ばれた声に振り返る。
 
 うっすらと意識を取り戻した亮が、ゆっくりと目を開けてこっちを力なく眺めている。その視点は定まってはいなかったけど、

 見えてるの?

 私のこと、見えてるのかな。目、合ってると思うけど、私のこと見えてるってことだよね。じゃなきゃ名前なんて呼ばないよね。