白い絵の具のように混じりっ気無し純度100パーセントの真っ白い顔。
口元に覗く鋭い牙はダイヤでも砕けそう。
重たく目にかかる銀髪から覗くグレーの(たまに白い)目に不気味に浮かぶ黒い点。
これでも充分恐ろしい怖い顔なんだけど、何故か憂いもあって、まんま悪魔みたいだったら一瞬で気を飛ばせるにしても、アンジュラには何かが欠けていた。
その威圧的なグレーの目で見つめられたら全身が凍りつきそうだけど、憎めないのはその雰囲気のせいなんだろうか。
極めつけに、時折垣間見せる口の中の真っ赤な様子は……
そりゃぁもう地獄としか思えない。意識もなくしたくなる。何人喰らってるんだろうと考えるだけでアンジュラ自体を見なかったことにしたくなる。
現実逃避だってしたくなるってもんだ。
ちょっと待て。
私は意識を飛ばさなかった。
「そりゃそうですよ。意識なんですから」
「意識はもう飛んでるからってこと?」
「ちょっと小難しい話になるので、そんな感じの解釈でけっこうかと」
小さく首を前に倒すアンジュラに、
「っ……」
イラッとした。
身体と意識は別物って認識で間違いないわけですよね。しかし、今のその、『お前みたいなぱーちくりんに話すにはもったいない話だ』的な投げ捨てられた感じがすこぶるすることに、ムカついてるけど、
とりあえず、
全く持って解せないんですけれども。私にはその意味が。

