天使みたいな死神に、恋をした


 この記憶のもたなさったらない。メモしてないから危うく忘れるところだったのかもしれないけど、それにしても忘れちゃダメな人なのに。
 
 亮って、そう、彼氏だ。で、この女性は亮のお母さん。
 
 何回か家に遊びに行ったときに会ってる。さくさくのクッキー出してくれたり美味しいカルピス作ってくれたりした。

 なんでそんな大切な人のことを忘れるの。


「亮!」


 亮の横、亮のお母さんと反対側に陣取り、顔を覗き込んだ。
 
 私と違って包帯は頭と腕と足だけだ。
 
 顔も少し傷があるけど、きれいなまま。

 絵画サークルなんてインドア丸出しな部署所属の亮だけど、趣味でやってるフットサルのおかげか、体格はがっちりしている。

 そこが救いになったかならないかはさておき、回復が早いのか。

 さわやかなスポーツマンタイプの亮は、そこそこモテる。

 とくに、こういったサークル内では、私というものがいてもおかまいなしにアタックしてくる輩もいる。





 人見知りで、おとなしい人の方こそ、心の中で何を考えているか分かったもんじゃない。

 人は見かけによらない。

 さっきアンジュラが言ってたことばなんかより断然こっちのほうがリアリティーある。