「で、翠さんは私に何を望むんですか? あまり大それたことはできませんからね。あなたがどうなっているのか分かった瞬間に行くべきところに戻ってもらいますよ」
あくまでも、いや、死神ですけどあくまでも、出来る範囲内でってことです。
アンジュラの話だとこうだ。
あのバス事故の時、私は間違いなくあのバスの中に乗っていて、事故を目の前で見ていた数少ない証言者でもある。だから、私の言っていることも間違いではない。そもそも、死んだらさっきの山田っちたちみたいに、死んでいない人のことは忘れているからだ。
つまりは私の体はまだ生きている。ということが確証している。しかし、なんらかな理由によってここへ紛れ込んでしまった。
そして、バスに飛び込んだのはまだみつからないということも付け加えられた。私が言ったことはルーインサイドであっというまに調べられ、今さっきアンジュラの耳に届いたそうだ。
もちろん私には何も聞こえない。
「てかさ、そういうのをここで見失うなんてそんなバカげた話があるわけ?」
ぜんぜんこっちの(人間)システムと変わらないじゃない。
「痛いところをずけずけと突いて来ますね。それは仕方ありませんよ」