天使みたいな死神に、恋をした


 ふっと鼻で笑い、

『よかった。そう思うようになってくれて。さてと、私はこれで何も思い残すことはありません』


「……え?」


 私の首元に張り付けていた鎌をゆったりと遠ざけ、冷たさも同時に離れていく。

 不気味な手で病室にいる私を指さした。

 目の前にいる私は私をじっと見ながら鎌をくるくる回し、まだ笑っている。

 相変わらずベッドに横たわる私の手を握りしめ号泣する彼氏が見えて、


 それを見て、嬉しさと切なさが押し寄せてきて、


 ドクンと再度心臓が痛くなった。


 呼吸が苦しい。

 息ができない。




 体を左右に大きく振られ、息も絶え絶えまた渦の中に飲み込まれていった。