「だからもう帰れよ」
「…………」
顔をくしゃくしゃにして泣きながら私の腕をがくんがくん振る彼氏。
私に嘘をついてまでほかの女の子とデートをしていた彼氏。
……そう、確か、名前は亮だ。
私のお財布からお金をくすねてまでほかの女の子とデートをしていた彼氏、亮。
私と一緒のバスの中で私がいるのに違う女の子とラインをしていた彼氏……
……なんか、頭にくるなぁ。
それでも私のために泣いてくれる少しだけ頼りない彼氏。
意識が回復しないのにずっと側で寄り添っていてくれる。
多少むかつくところはあるけど、お互い様だ。
一生懸命話しかけてるけど、それ全部聞こえてるからね。
なんでもするって言ったことも、もう悲しませないって言ったことも、全部ゼンブぜーんぶまるまる丸っと聞こえてる。

