「じゃぁ、みんなこうやって私みたいにここに来たりしているわけ?」

「そういうのもいる」

「全員が全員じゃないの?」

「歩んできた人生によって行き先が変わる」

「死後の世界なんて無いって聞くけど」

「無いよ」

「…………じゃ、ここは?」

「人間をやってるってことが本当の自分だと思ったら大きな間違い」

「……意味が分からない」

「分からなくていい。人間が終わったら無に還るだけ。そういう意味ではその後の世界は無いな。俺が今ここにいるのはその後の世界にお前たちを連れて行くため。そのために俺たちがいて振り分けてる。で、お前は間違えて連れてこられたって話」

「そうだったよね。確か私、間違われたんだよね」

「徐々に人間だった記憶は消えて行く。今のお前みたいに。人間の前どこにいたか覚えてる?」

「いたの?」

「いたよ」

「どこに?」

「な、忘れてんだろ? 今がまさにその状況だよ」

「私、まだここに来ちゃダメなんだよね? まだ終わってないんだよね? 終わっちゃダメなんだよね」

「そういうこと」

 ちらりと下にいる私を見て、

「いてもいいが、どこかでもう一度やり直さなきゃならなくなる」