「いいか、下に落ちるって感覚になれ……って、おい! 寝るな!」

 頭をひっぱたかれる。

「いたいー」へらっと笑って頭を抱える。

「だったら寝るんじゃない。っとに」

「……ふへへ」

「待て待て待て待て待て。なんだ今の気持ちの悪い笑い。鳥肌だぞ。なんないけど。ちょと目ー見せてみろ」


 へらへらと柔らかい風にたなびく柳のように揺れる私の身体を押さえ、下瞼をべろーんって下に引っ張られる。


「うっわー、あいつまじでやりすぎだろこれ。本気で引き連れてく気かよ」

 ルーインの独り言は意味が分からない。何がやりすぎ? 何を引き連れてくの。

「お前どのくらい飲んだ?」

「飲んだ? やだ、お酒なんて飲んでないよ」

「ふらふらすんじゃないっつんだよ! まっすぐ立ってさっさと下降りてけ! 本当に時間無いぞ! 行け!」

 私の頭を掴んでバスケットボールを床に叩きつけるように力強く、横たわる私の上に思いきり押しつけられた。

 おかげで私は頭が下に、つまり横たわっている自分の頭のところへ意識である私の頭がくっついたわけだ。



 が、戻る気配はさらさら無し。