感情無く淡々としている風にも見えた。
 
 何て言葉をかけていいか、分からなかった。

 何て言って欲しかったのか、分からなかった。

 そもそも感情が読み取れない。

 そしてこの場合に適切な言葉を選び出せるほど、私は人生経験積んでない。


「ええと、もうこのさいですからはっきり言いますと、残念なことに私たちはきっと何もかもが合うと思います」


 このタイミングで、なんでこんなことを、どきっとすることを簡単にさらりと言えるのか、不思議で仕方ない。


 でも、


「それは、私もそう思うよ」


 本心からそう思う。

 なんだかよく分からないけど、相手は(変な)死神だけど、昔から知っているような。しかも居心地も良くて、なんとも落ち着ける存在だっていうのは感じる。

 さっきの川の出来事だってきっとこれを私に見せたら私が怖がって気持ちも変わるだろうと思ってのことだと思うけど、でもそんなのどうにでもなる。


 全部すっとばしても、自然体でいられる。だから……


「それが一番の問題でした」

「ん? それどういうこと」

「余計なことに、翠さんは私のことが完全に好きになりかけています」

「だって」またそんなことをずばっと、ん? 余計?

「私が仕掛けたこととはいえ、あなたには心に決めた方があちらの世界にいますでしょう? ですから私は私があなたに好意を持ったとあなたか思えば、多少なりとも嫌がるかと。そうなればさっさと帰ってくれるんじゃないかと、そう考えたわけです。それだけだったんです。しかしながらあなたはそれをまともに受けてしまった」


 何今の? 


「そこが最大の問題でした。だからこんなことになっているんです。そうなんです、私のせいです。最初は遊びのつもりでした。翠さんがあまりにも純粋なので、そうですねぇ、少しばかり楽しんで遊んでしまいました。すみません。」

「それ、最悪じゃん。最初から嘘だったの?」

「…………まさか翠さんがこうなるとは思わなかったものでして、私を毛嫌いしてさっさとここから出て行くとばかり思っていました」

「ひどい」

「…………はい。そうですね」