「よくもまぁ、そんなに重くて体壊れませんでしたね」くつくつと笑い、

「ねぇ、喧嘩売ってるなら、買ったほうがいいの?」

「いえいえ、そんなめっそうもない。翠さんに喧嘩なんてそんなそんな」わざとらしく両手を振ってみている。

「女子にむかってそれ失礼なんですけど」

「そうなんですか? それは失礼しました。つい本当のことを」

「余計腹立つ!」

「まぁまぁ、そんなに怒らずにここに腰を落ち着けて紅茶のようなものでもどうですか。お好きでしょう?」

 テーブルの上にすすすっと出された例によってなんだか意味の分からない飲み物(きっと紅茶)は、とってもおいしいし、落ち着く味。そして好き。

 私は言われるがままに椅子に座り、出された紅茶に口をつけた。

「やっぱりおいしいこれ」

「それは良かった。これで本当に最後になりますけどね」

「最後? 何言ってるの?」なんで最後?

「今言った通りです」

 よく見りゃアンジュラの飲み物は無い。

 テーブルの上に組んだ手の中にはいつの間にか小瓶が握られていて、小瓶はその手の中でおもちゃのように弄ばれていた。