天使みたいな死神に、恋をした


 滑るように歩く(もはや歩いているのかどうかも定かじゃないけれども)死神の肩に乗っけられた私は為す術なく、見えるのは死神のローブのみで、どこかへと連れて行かれる。

 時折シャパッと後ろの方で閃光みたいなのが走るから、半分生きている私を狙ってやってくるあの気持ちの悪いどろどろをぶった切っているに違いない。
 
 ので、むやみやたらに話しかけるのは止めてお口チャック。

 ややしばらく米俵のかんじで担がれていたと思ったら、いつの間にか地面に足が着いていた。



「重いですね」

「……」

 はっ倒したくなる言葉をペロっと吐いたこの死神は、大丈夫でしたか? の一言もない。


 しんじゃえばいいのに。と、心で罵ってみるものの、実際には細い目で睨みつけるしか方法が見つからない。

「あ、しんじゃえばいいのにって思われましてもそもそも人間ではないので、生きていませんから、はい」
 

 やんわりとやりかえされ、あからさまに肩や腰をとんとんと叩き始め、あぁ、疲れた、重かったとアピールしながら鎌を元の位置へ戻す。


 私よりもあの鎌の方が重いはず。(以前持ってみてそんなかんじだった。すごく重たくて持ち上げられないのが何本かあったし)