天使みたいな死神に、恋をした


 次から次へと川から上がってくる変な物たちをかっさばく死神が、満面の笑みを浮かべて仕事をこなしているところを淡々と見続ける私。


 目の前の死神を凝視していたため、後ろから誰かが近づいてきていることになんて全く気づけなかった。
 

 やっぱそう、なんでもそう。気づいた時にはもう遅い。
 
 ふわりと体が浮き、真っ逆さまになった。

 地面が目の前に見えて、何コレ。顔を上に上げると、


 お腹のところを黒い腕がしっかりと掴み、それはなんかすごく怖くて触りたくなくて、もがく私の手は不自然に宙を掻く。

 私の身体は黒い誰かに抱えられたまんま、ずるずると川の方へ近寄っていく。

 なんともいえぬ臭いが鼻につく。

 見える黒い足は溶けていて、虫が這っている。

 私の腕に黒いぬるぬるとしたものがボトリと落ちてきた。

 払う。

 払っても払っても次から次へと上から落ちてくる。