そうなんだよ分かってる。愛おしいなんて思っちゃいけなかったんだけど、でも気持ちなんてどうにもならないわけだし、一度傾いた気持ちをとめるのも、無理な話。

 良い意味でも悪い意味でも、なんてことない一瞬が心にぐっさり突き刺さって抜けなくなるときもある。

 態度だってそう。気にもしていなかったのに、不意の一撃ってやるにやられることだってある。

 好きになる気持ちはそこら辺に落ちていて、どこでそれを拾うかのタイミングによって、スイッチが入ったり切れたりするんだろうな。

 今までなんてこもなかった相手を気にし始めたり、逆になにかのきっかけで自分を自分でマインドコントロールして好きになってみたり、またその逆で、嫌いになってみたりするように脳を錯覚に導くこともある。



 そして、

 しつこいくらいに「さっさと帰れ」と何度も何度も言っていたアンジュラの言葉の言わんとするところが、後になって分かることになる。