「ですから、ここはまずやはりさっさと翠さんのやりたいこととやらを片付けましょう。じゃなければ仕事も片付かないし、なんせ状況が変わりませんので」

「何その投げやりな感じ」

「そうですか? 別にそんなに感じ悪くはないと思いますけど」

「そう?」

「はい。それではさっさと参りましょうか」

「地獄観光?」

「何回も言っていますがここは地獄ではないですけど、まぁ、似たようなものでしょうか」

「お弁当的なモノは作らなくていいの?」

「お弁当ですか? その辺にいろいろありますから、とうか、それは無くてもいいんじゃないでしょうか。一つお聞きしますがここに来てから一度でもお腹が空いたことがありますか?」

「無い」

「ですよね。翠さん、もし作ってくれようとしていたのなら、お気持ちだけありがたく頂戴致します。しかしながらここでは食べ物なんてものは必要ないんです。食べ物とはつまり肉体を保持、安定させるためのエネルギーです。肉体を持たない私たちには全く必要ないんです」

「……拒否されたようで若干少し落ちたけど、そういうことなんだってこと、分かりやすく教えてくれてどうもありがとう」

「……それはあれですか? 翠さんの言うところの嫌味ってものでしょうか」

「おお、さすがアンジュラ。学習能力高い」

「褒められている気がまったくしませんが、ここは……恐れ入ります」