天使みたいな死神に、恋をした


「信二君、見えたの?」

「ええ、見えましたね」

「やっぱりそういうことって出来るんだね」

「しませんけどね、二度と」

 
 それでもせっかく会えたんんだ、10分だってぜんぜんいいじゃないか。
 
 私も……会えるのかな。

 もしかしてこのまま帰れなかった場合は、会えたりするのかな。



「すみませんが翠さんが万が一こっちの世界に残ると決心した場合ですが……」

「ですが?」

「残念ですけど、どなたにも会うことは出来ませんよ」

 きっぱりと言い切った。

「なんで。だって緑さんはできてるよね。なのに私はダメなの?」
 
 さっき出来るって言ったじゃんと言おうとした所でルーインが中から戻って来た。緑さんが招き入れられた時に一緒に入って行って、様子を見ていたけれど約束通りしばらく二人きりにさせた。
 

「ルーインがさっき言ってたでしょう」

「後悔するってこと? もう後悔してるよ」

「これができることを知ってしまった以上はもう誰にも会うことができないんです。いろいろ考えるとね、無理なんですよ」


 いつものようにこちら側のルール云々を引き合いに答えを出したアンジュラの言ったことを考えている時にルーインが突如として言い放った。


「俺はこの後、綠を連れ帰るからお前達は先に帰って。以上。質問は受付ない」
 

 質問は受付ないと言ったことばは無視して、綠さんに会ってから帰っても遅くないでしょと食ってかかる私に、先に戻りましょうとアンジュラが口をはさんだ。

「最後にお別れだって言いたいし、言ってないことだってあるし、待ってるって言ったもん」

「それってさっきのことですか? 言わない方がいいですよ。それに彼女はしかるべき場所でそのことについても通達されますから。痛みはそこで伴います」